太極拳初心者の方へ

 太極拳にはいろいろな流派がありますが、基本的な注意点は同じです。
 「孫式太極拳総説」に孫式太極拳の練習時の注意が書いてありますが、他の太極拳流派と共通すると考え てよいと思います。
 簡潔に書いてありますので、解説と補足を試みてみます。
[継続すること]  太極拳を学ぶときに一番大事なことは、まず続けるということです。
 運動していない人 が太極拳を始めると割合すぐ効果が現れるものですが、これは運動不足がある程度解消さ れたためであり、他のスポーツや体操などでも同様の効果が得られます。太極拳の本当の効果(身心の調整、免疫力の向上など)が現れるには、正しい練習を続 けることが必要です。少なくとも1〜3年は続けてみていただきたいものです。
 練習はで きれば毎日すること。週に一度2時間練習するより、毎日10分やるほうが効果がありま す。
[姿勢]  正しい姿勢は太極拳を練習する上で最も重要なことです。
 正しい呼吸も効果的な動作も バランスも、すべて正しい姿勢のもとでのみ可能です。  ただし、太極拳でいう「正しい姿勢」は、学校の体育で習う正しい姿勢とは著しく異な ります。
 背筋を伸ばし胸を張ってはいけません。 上半身はどこにも無理な力が入らずゆっ たりと楽な状態で、胸は張らず、かといって猫背にもならないようにします。
 肩と肘を落 とすようにします。 脚や腕はピンと伸ばすことがなく常に緩んで湾曲しています。
 頭のて っぺんを上から糸で吊り上げられているようなイメージで上に伸ばします。ただし首筋に 力が入らないようにします。
 姿勢が正しくないと膝などを傷めることがあるので注意してください(腿が痛いのはO K)。痛くなったら即練習を中止すること。
[呼吸]  舌を上顎に着け、歯は軽く噛み合わせる。口はごく軽く閉じ鼻で呼吸します。
 飲食時と しゃべっているとき以外は舌先を上顎に着けることを忘れずに。眠っているときもです。
 舌は英語の“L”(エル)の発音の最後の状態で上顎につけます。唾が出やすくなります ので口中に溜まったら少しずつ飲み下します。口での呼吸は免疫力を低下させることが分 かっています。
 静かな長い呼吸がよいですが、無理に長くしようとして苦しくなるようではいけません。呼吸は腹式呼吸がよいとされています。しかし意識的に腹式呼吸をすると力みが入って苦 しくなることがあります。正しい姿勢ができていれば自然に正しい呼吸ができます。
 自然呼吸を心がけてください。意識的な呼吸や意識を丹田に固定することなどは偏差(副作用) の元ですので、初心者は避けるべきです。
[意識]  体の一部分に意識を固定させることはよくありません。全身に意識が行き渡っている状 態がよいでしょう。
 太極拳の套路(型)を行っていると、雑念がいろいろ湧いてきます。 想念に引きずられて次から次へと連想がつながっていきやすいので、「想念が湧いては消 えるのを見守っている」という状況にします。また、無理に想念を押し込めないようにし ます。
 意識は視線に導かれるので、視線(目線)が大事です。また、意識が自分の内部に閉じてしまわないようにします。目を閉じて行うことはあり ません。
[リラックス] がんばらないこと。ゆったりした気持ちで無駄な力みが入らないようにします。
[練習上の注意]  以下にいくつかの注意点を示します。
(1) 練習中に気分が悪くなったらすぐ止めること。少し休んで戻らないようなら、指導者に相談してください
(2) 食事、入浴の直前直後は避ける(30分程度)
(3) 強い風やエアコンなどの冷風を受けて練習しないこと(夏は背中から冷風を受けること、冬は正面から強風をうけることを特に避ける)
(4) 雨の日は室内で。濡れながらの練習は不可。室内であっても、外の天候が暴風雨、雷など、激しいときは避けたほうが良い場合があります
(5) 汗をかいたあと、身体を冷やさないように。こまめに衣類を調節しましょう
(6) 激しい運動の直前直後は不可
(7) 精神状態が不安定なときは避ける
(8) 太極拳は体に急激な負荷がかからないので、オーバーワークになりがちです。物足りなくてもある程度の時間練習したら止めること
(9) 急性病、特に発熱時には練習してはいけません。ゆっくり休むこと
(10) 気持ちがいいか悪いかが、いい練習か悪い練習かの目安です。そのためにも身体の感受性を高める必要があります(感受性を高めるような練習の仕方が大切)
(11) 女性は生理が重いときは控えたほうが良いでしょう
(12) 他の練習者の邪魔にならないようにしてください。進行線を横切るときは要注意
 以上、思いつくままに述べてみました。詳しくは実技で指導しますが、疑問・質問があれば、 後藤まで連絡してください。
以上
(3rd Jul. 1999 後藤 英二)